第3章 キオク
蓮は、とりあえずその部屋に入り、壁に近づく。何回か深呼吸を繰り返すが、心臓は落ち着かない。
ついに、また頭を抱え込む。その場に膝をつく。
「この感覚………さっき、と………同じだ………。」
蓮は、理性を失わないように必死に保つ。蓮の頭の中は、誰かを求めているような錯覚を覚える。
「お、俺は………違う………。ちくしょおおぉぉぉーッ!!!」
蓮は、声を張り上げる。蓮の声は、部屋中に響く。声を張り上げたおかげか、さっきよりも落ち着きを取り戻した。
落ち着いた所で、蓮は辺りを見回す。そして、ある物に気づく………。それは…………。
「っ!?こ、これ………優稀の携帯………?」
そう、優稀の携帯が落ちていた。蓮は、彼の携帯を拾い上げる。一カ所だけ、傷があった。落とした時に、傷ついたのだろうと判断する。
「優稀は………この部屋に来たのか?」
とりあえず、蓮は優稀の携帯をポケットにしまう。更に、またノートが落ちていた。蓮は、拾い上げ開く。
『欲しい……ホシイヨ……。日に日に、アノヒトが恋しくなってきた。だけど、振り向いてくれない。なら、閉ジ込メヨウ!!』
これだけしか書いてなかった。其処から、キランッ!と光、何かがノートから落ちる。そう、鍵だ。
蓮は、首を傾げながら鍵を拾い上げる。その鍵に、『地下室』と書いてあった。その言葉を見たとき、蓮は目を見開く。
「ち、地下!?まさか…………。いや………処分したと…聞いたが………。チッ、何処だよ、地下室の入り口は………。」
蓮は、まるで何かを知っているふうに、言った。舌打ちをして、その部屋から出る。
「稟を、探してる場合じゃあねぇな!」