第3章 キオク
優稀は、うぅ…と呻き声をあげながら、重い瞼を開ける。
「っ………頭が、痛い………。」
優稀は、頭痛を訴えて手を伸ばそうとするが、ガチャッ!と音が金属音が聞こえる。
逆に、手が引っ張られる。動けない。優稀は、目を見開く。
「なっ!?なんだ?」
両手首には、鎖が繋がっていた。優稀は、ガンガンッ!と音を立てながら鎖を引っ張る。しかし、ビクともしない。
「どうなってるんだ?これじゃあ………。」
優稀は、出られないと判断をする。確かに、鎖で繋がれている以上、何も行動はできない。
優稀は、溜息をして辺りを見回す。壁や床は、コンクリートで出来ている。何よりも………。
「………気味が悪い。それに、この臭いは………血…?」
鉄の臭いがする。人間の骨が大量に落ちている。いや、放置されている。優稀の言った通りに、壁や床は赤く染まっていた。
やはりこれも全て血だ。優稀は、顔を青ざめて……。
「此処にいるのは、危険だ。早く、此処から出ないと……!」
やがて優稀は、再び鎖を引っ張り出した。千切れる事を信じて………。
一方で、一人で行動する蓮は、香李が言ってた通りに旅館に着く。しかし、其処には優稀の気配が全くない。
蓮は、舌打ちをして旅館に入り優稀を探し始めた。
「たくぅ、何処に行きやがった?優稀の奴………。」
眼鏡をクイッと持ち上げて、辺りを見回す。そして、一つの扉を開ける。その部屋の壁を見て、蓮は驚いた。
そう、優稀が見たあの壁だ。ひたすら赤い色で、『愛してる……』が書かれている壁を………。
その言葉に、蓮の心臓がドクンッ!と跳ね上がる。それと同時に、息苦しさを感じた。