第2章 1人は……ダメ……
→逃げる。
私は、恐怖に怯えてその場から離れるように逃げ出す。今の状態の蓮は、あまりにも危険過ぎる。
飢えたような獣にしか見えない。足の痛みに耐えながら、ひたすら走る。だけど、蓮は私を追いかける。
その時、私の脳裏である事を思い出す。何故今頃思い出すのか不明。これは、大学入る前の話。
「ねぇ、香李。知ってる?ずっと前に、ある村が廃村になったこと…。」
高校の友達が、私にそう言ってくる。私は、首を傾げながら首を左右に振る。友達は、いつも持っている本を広げながら語り出す。
「原因は、よく分からないけど…行方不明者が続々と出たらしいの。それで、廃村に繋がったみたいだけど……。」
「行方不明者?何かあったのかな、その村。」
私は、ペットボトルに入っているジュースを飲む。友達は、複数な表情を浮かべながら……。
「独自に調べたけどね………その村は────。」
その瞬間、私は見事に転び現実へと引き戻される。そして、右足に痛みが走り出す。これでは、もう走れない。
絶望的だった。蓮は、ゆっくりと私に近づいてくる。手に何かを持っていた。その何かとは………。
「れ、蓮………それ………何?」
私は、震える声で蓮に言った。彼は、不気味な笑みを浮かべて私に見せつける。
「ん?これか?あぁ……さっき見つけたスタンガンだ。」
スタンガンのスイッチを入れると、ジジ…と音がなり電気が走る。恐怖で、私の体は固まる。
「れ、蓮………貴方…。」
「怖がらなくていいんだゼ?ズット、俺達ハ一緒ナンダカラ…………。」
私の耳に入った最後の言葉だった。
→BAD END