第2章 1人は……ダメ……
急に、蓮が頭を抱え出した事に気が付く香李。途中で、処置を中断させて蓮に近づく。
「れ、蓮!?大丈夫!?頭痛…するの?」
不安な表情を見せながら、蓮に問いかける。蓮から漏れる苦しげな声。これは、ただの頭痛ではないと思った香李。
香李は、携帯を取り出し画面を確認するが…『圏外』と表示されている事に気が付く。どうしようと、困惑する。
「蓮、しっかりして!」
香李の言葉に、動きを止める彼。急に止まってしまったせいか、不思議に思う彼女。
「───しい………。」
「えっ?」
蓮は、何か言ったがはっきりと聞こえなかった為、戸惑う彼女。そして、ガバッと蓮は顔を上げる。その彼の顔を見た瞬間、香李は恐怖を感じた。
その理由は、蓮の瞳には光が入っておらず、不気味な笑みを浮かべていて、何処か獣のように見えた。
香李は、あまりにも危険だと思ったのか、数歩後ろに下がり、蓮と距離をとる。彼は、ゆっくりと立ち上がり、彼女の方を向く。