第2章 1人は……ダメ……
─蓮─
(…何処かで、怪我したのか?コイツ…。)
よく見ると、思っていたよりも出血をしていた。俺は、溜息をして見上げると僅か、苦痛の表情をしている香李を見る。
「ご、ごめんね。今、軽い処置をするから待っててもらえる?」
「……あぁ……。」
香李は、そう言ってその場に座り、ポケットからハンカチを取り出す。俺も、その場に座って、その様子をぼーっと見ていた。
僅かに流れ出す血を俺はただ単に見ていた。その時だった。ドクンッ!と大きく心臓が跳ね上がった。
そして、俺の目は大きく見開かれる。
(コイツのゼンブが、欲しい……。)
俺の心の奥から、香李の全てを求めていたように感じる。香李の血を見ては、綺麗だとか自分のモノにしたいとか、思っていた。
(……コイツのゼンブ……欲しい………。頭から爪の先まで…俺の…………オレノモノニシタイ………。)
俺は、無意識に香李に向かって、手を伸ばす。不思議に思ったのか香李は、俺の名を呼ぶと、俺はふと我に返った。
わりぃ、と言ってから手を引っ込める。大きく息を吐き出して、頭の中を空っぽにする。だが、俺の頭の中で………。
何故…コイツハ、オレヲ見テクレナイ?見テクレナイノナラ………。誰ニモ邪魔サレナイ場所ニ……閉ジ込メヨウ………。
そう必死に、グルグルと回っていた。ついに、俺はそれに耐えれず、頭を抱えだす。
─蓮 終わり─