第2章 1人は……ダメ……
→自分が囮になる。
私は、唇を噛み締め………。
「嫌だッ!優稀を置いて私だけ逃げるんなんて……そんなの嫌だよッ!」
私は、声を張り上げて優稀に向かって言った。私の言葉に驚いたのか、優稀の瞳は大きく開かれる。
そして、私は優稀の一歩前に出る。
「わ、私が囮になるから優稀が逃げて…。何度も優稀に助けられてるから、助けたいの!」
僅かに声が震える。しかし、優稀はそれを許さずに、私を引っ込める。その間にも少女はゆっくりと、私達に近づいていることに気づかなかった。
「駄目だッ!君は、女子だ。男子である僕に頼るべきだ。」
確かに、優稀の言った事は正論だ。だけど、それだけじゃあ、私は引かない。その時、優稀の後ろで、包丁を振り上げる少女が目に入る。
「っ!優稀ッ!!!」
私の全身の力で、優稀を吹き飛ばす。油断をしてたのか、優稀の体は大きく傾き床に転ぶ。それと同時に、私の体が激痛へと変わる。
「ッ……あ………が………。」
背中から激痛が走る。優稀は、私を見て顔を真っ青にさせて、近づいて私を抱きしめる。
「香李ッ!?し、死んじゃ駄目だ!ねぇ!ねぇ!」
「……ゆ、う……き。無事………で、よか……った……。」
私は、それだけを言って重たい瞼を閉じた。その時、優稀は私の名を呼んでいたことには気づかなかった。
いや…………聞こえなかった。
→BAD END