第2章 1人は……ダメ……
旅館の中は、2人が思っていた以上に、酷かった。床や壁が、やはりボコボコに崩れていた。
「………酷い臭いだ。」
「うん…鼻が、壊れちゃいそう………。」
お互いに、鼻を抑えながら中に、入る。旅館という事でか、玄関はとても広かった。そして、何よりも和風だ。
2人が歩く場所からギシギシと廊下が、響く。今すぐでも、床が抜けそうで、香李は少し恐怖を感じていた。
だけど、今……隣に居る優稀と一緒にいるため、取り乱す事は今の所ない。香李にとっては、それだけ優稀という存在は、大きいのだ。
暫く歩いていると、一つ大きな扉を見つけ、開ける。其処は、とても広い場所だった。
「此処は、何かの集会所?いや、違うな………。」
「よくわからないけど、皆が食事する場所じゃないかな?」
お互いに、意見を言い合いながらこの部屋を想像する。この部屋には、大きなテーブルがあっちこっちに、転がっていた。
香李の言った通りに、此処は恐らく食事を摂る場所と考えた方が、自然かもしれない。2人は、その場所に入る。
「色々、ありそうだから探すか。」
「うん、了解!」
香李と優稀は、お互いに手を放しこの部屋の探索を始める。優稀は、テーブルを退かしながら探す。
香李は、壁になどに掛かっている掛け軸などを、退かし始める。やはり、掛け軸もボロボロ状態。
掛け軸に、触るとすぐに破れてしまう。テーブルも同様だ。触れると、すぐに壊れてしまう。
そんだけ、この村は放置されていたのだと悟る。すると、優稀はあるテーブルの下から光る小さな物を拾う。
「香李、鍵だ!」
「えっ!?」
香李は、驚いて優稀に近づく。優稀の手には確かに鍵を持っていた。