第2章 1人は……ダメ……
落ち着きを取り戻した、香李。今、優稀と共に、蓮と稟を探している。しかし、村が広いせいか、なかなか2人を見つけられない。
「んー、なかなか見つからないな……。何処に行ったんだ?」
「思っていたよりも、此処の村って広いよね。」
お互いに、首を傾げながらひたすらに、歩く。すると、香李はあっ、と声を出し、指をある方向へと向ける。
優稀は、彼女が指した方向を見ると、大きな家…というよりも、普通の家ではなかった。
「なんだ?あれは……ホテル……というよりも旅館だな。」
優稀の言った通りに、旅館に近い建物だ。香李と優稀は、その旅館らしき建物に近づく。やはり、この旅館もかなり朽ち果てはいた。
優稀は、自分の顎に手を当てて、考える仕草を見せた。
「もしかしたら、何か手掛かりが見つかるかもしれないな。」
「そうなれば、この旅館に入る必要があるよね。」
香李の言葉に、優稀は頷く。
「でも、さっきみたいな死体が、ゴロゴロあるかもしれはい。……香李大丈夫か?」
優稀は、香李の事を心配をする。先程、香李にとっては、とても怖い体験をしている。香李は、それに答えるかのように、ギュッと手を握る。
「1人よりは……マシかな。一緒に、居てくれるなら、大丈夫だよ。」
香李は、優稀に向かって微笑みかける。優稀は、ニコリと笑い頷いた。
「わかったよ。だけど、無理はするなよ。」
優稀の言葉に、元気よく頷く香李。そして、2人は、旅館に入っていった。けして、誰も居ない旅館に………。