第1章 久しぶりの…………。
─香李─
私は、稟を追い掛けて走って来たけど、途中で見失ってしまった。一旦、足を止めて呼吸を整える。
息が落ち着いた所で、稟を探す為に歩き出す。やはり、人の気配など全くしない。恐らく、何年も前に廃棄してしまった村だとわかる。
でも、稟が見せてきたのは、ほぼ最近の雑誌に見えた。ふと足を止めて、一軒の家を見る。
興味本位で、その家に近づきドアノブに手を近づかせる。ギィィという不気味な音を立ててながらゆっくりと開く。
家の中は、埃だらけで思わず口を塞ぐ。しかし、埃だけではなかった。私は、家の中に入り、周囲を見る。
そして、私は見てはいけないモノを見てしまった。思わず、体が硬直する。
「あ………あ………あぁ………。」
私の口から漏れる声。抑えることなど出来ない。私の目の前に、人間の骨が放置されていた。
「い………あ……。ああああぁぁぁぁッ!」
私の腹の底から声を出してしまった。此処まで、自分が恐怖に落ちたのは初めてだった。
私の頬には、大量の涙が流れ始め体は、ガタガタと震える。そして、その場所から離れなくなってしまった。
─香李 終わり─