第11章 あれ?
せっかくの平日サービスタイムだけど、早めにラブホを出た。
「逢坂くん、元気ないね。ゲーセンでも行く?」
私は彼に話しかけてみる。
ノーリアクション
…ですよね。
「…行かないか。じゃあ今日は私がお家に送ってあげる」
「…ううん、大丈夫」
……。
困ったな。逢坂くんなら私がこんなときどうしてくれたかな。
いつもしてもらってるばかりでこんな時でさえ何の役にも立たない自分に嫌気がさす。
特に何も話さないまま電車に乗って最寄り駅まで着く。
「ごめんね。今日はここで…」
駅のバスターミナルの前で彼が言う。
「うん…。じゃあまた明日!」
私はにっこり笑ってなるべく明るく手を振る。
彼が顔を上げて私の顔をちょっと見る。そして言う。
「ゆめちゃん。僕のこと…嫌いになっていいよ」
……え。
彼はそう言って私に背を向けて歩いていった。