第5章 ちょっと待ってて
「明神くん、これ教えて。パパッと」
「またですか。パパッと教えられると思うんなら自分でもちょっと考えたらどうですか」
「聞いた方が早いし、わかりやすいから〜。さすが明神くんだよね。教え方がいいのかな〜」
「ハイハイ、分かりました。面倒だからおだてなくていいですよ。これはこうで…こうだから…」
HRが終わった後、中間テストが近いので私は同じクラスの明神くんに物理でわからない所を教えてもらっていた。
「あ、逢坂くん!ちょっと待っててね。すぐ終わるから」
テスト前で部活がないので教室に私を迎えに来た逢坂くんの姿が見えたので私は声をかける。
「…あ、うん」
逢坂くんは頷いて、廊下の壁にもたれた。
…
「ごめんね。待たせちゃって。物理教えてもらってた」
帰る準備をしてスマホをいじってる逢坂くんのとこにかけよる。
「ああ、物理。大丈夫そう?」
逢坂くんが顔を上げてちょっと微笑む。
「うん、なんとか。帰ろっか」
「うん」
私たちは歩きながら話をする。
「逢坂くんはテスト勉強進んでる?」
「まあ、なんとか」
「テスト終わったらパーッと遊びたいなぁ」
私がそう言うと彼が何か楽しそうな顔をした。
「あれ?何か思いついた?」
私がそう言うと彼の顔がちょっと赤くなる。
「…後で、後で言う。学校出てから」
「…」
何か良からぬことを考えてそう…。