第4章 【目が潤んだ話】
「じゃあ、何処かに出掛ける?」
暗闇に目が慣れてきて、神薗さんの顔を見た瞬間に僕の緊張メーターが振り切れた。
「そ、それって、でででで…っ!?」
「修哉君の家族も一緒でも構わないけど」
意識しているのは僕だけ、と分かった途端に下がるテンション。そんな挙動不審の僕を「キモいわね」と神薗さんはバッサリ斬り捨てる。
「ふふ…っ、じゃあデートにしよっか?」
かと思えば、僕をからかうように期待する言葉を投げ掛けてくる。さっきから僕の心臓はダッシュのトレーニングをしてるような状態だ。
「…その時はさ」
仕返しと言わんばかりに、僕は唇を吊り上げる。
「“今の”神薗さんが良いな」
自然体の方が可愛いよと、わざと耳元で言ってやれば予想通りに照れる神薗清子。言っていて僕も恥ずかしくなってきた。