第2章 【目を丸くする話】
「また面白い話してよ、修哉くん」
名前を呼ばれて、よしよしと頭を撫でられて──みるみる顔が赤くなるのを自覚した。きっと耳まで真っ赤に違いない。
「──勉強の、いい息抜きにはなるかもね」
何とか平常心を装って言うも、笑う神薗さんを見れば動揺しているのはバレバレだった。
これ以上顔を見られたくなくて、僕は適当に挨拶して部屋を出る。
顔だけじゃなく、体中が熱い。
食事をしたから?
それだけじゃないのは、高鳴る心臓が明白に物語っている。
「……また、ご飯食べさせてくれるかな」
そう呟いて、高層マンションを見上げた。
彼女に撫でられた頭が、不思議と暖かい。
今日はよく眠れそうだと、自然と僕の顔に笑みが零れて──僕は家路を急いだのだった。
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