第2章 【目を丸くする話】
「美味しい!」
「良かった」
素直に感想を漏らせば、彼女は目を細めて笑う。
その様子に…あぁ、姉ちゃんの笑顔は太陽のように眩しいから、見てる方もつられて笑っちゃうんだよなぁとしみじみ思う僕。
「そう言えば」
もそもそパスタを食べていた僕に、神薗さんは思い出したようにグラスを置いた。
「キミの名前は、なんて言うの?」
「鹿野だよ。鹿野修哉」
滑るように言葉が出てきて、名乗る。
考えなしなのかも知れないけど、何となくこの人は信用に足りる人だと思ったから。
…決して餌付けされたからではないと、脳裏に浮かんだセトの顔に向けて言い聞かせる。
明後日の方に意識が向いていた僕は、自分の事なのに全く気が付かなかった。
「……元に戻ってるわよ」
指摘されて、ようやく身体を見下ろせば。