第2章 【目を丸くする話】
「はは…何だ、バレてたのか」
ある理由で嫌々ながらも必死で欺いていたというのに、何かもう空しくなってきた。
全身脱力してソファに横たわる。
そして、ふと気付いた。
「…じゃあ神薗さんは初めから僕の能力に気付いてたんだ?」
「まさか。楯山さんは一卵性の双子で、もう片方がすり替わってると思ってた」
なかなか面白い考察に、僕の肩から力が抜ける。ようやく笑い顔になってきた。
「神薗さんは、外見に似合わずユニークな発想するんだね」
僕の言葉に、神薗清子は料理の手を止めて顔を俯かせる。
少しの沈黙が何だか痛くて、僕は不味いことを言った事を理解し謝る──前に彼女が口を開いた。
「学校では、あえて目立たないようにしてるの」
私も皆の目を欺いてるのよ。
「キミと同じね」
そう言って、神薗清子はくすりと笑った。