第8章 after
季節は変わり、冷たい風が吹き葉と葉の間からこぼれる光は彼の心を癒すかのように揺れ動く。
静かなそこでは、葉が擦れ合う僅かな音ですら響きわたっている。
一際目を引く大きな樹の下でうずくまり、手で顔を覆う人。
後悔がどれほど哀しいか知っていたというのに、彼に与えられた決断の時間はあまりにも短く、突然すぎた。
肩を震わせ、覆う指の隙間から雫が伝う。声を殺し、肩だけを震わせる様子はいかにも彼らしい。
片方の手に握られているものはリボンだろうか。
彼には似合わないピンクのそれを見た時、何を思ったのか。
それの持ち主がなぜ最後に笑っていたのか。
答えは彼らにしかわからない。