第7章 誰も知らない
一週間後、壁外調査がやってきた。リヴァイはベルトを体に巻きつけ、立体起動装置をつけると出口とは逆の廊下を進む。慣れたように複雑な角を曲がり、まっすぐ1つの扉を開ける。
「…リア、体はどうだ。」
部屋にはベッドの上で縮こまって座るリア。
「…誰?」
この会話を何回したことだろうか。リアが思い出すことは無いとわかっていながらも辛いものがある。
リヴァイはベッドの端に腰をかけると、リアをそっと抱きしめた。
「…意味がわからなくてもいい。黙って聞いてくれ。」
リアはリヴァイの腰に腕を回すと、キュッと力を入れる。
「俺は今から調査に出る。…帰って来ないことも無いわけではない。」
「…それでも俺は必ずここに帰ってこよう。そしたらお前とまた、あの丘に行きたい。」
「…丘?」
「あぁ、約束したからな。お前のあのピンクの紐も取りに行こう。」
「紐…。」
「リア、俺は「兵長!」」
扉の向こうから部下の声がする。
時間か…。
「……何?」
「…戻ったら話す。待っとけ。」
首をかしげるリアの頭を軽く撫でると、リヴァイは部屋を出て行った。
帰ってから言えばいい。
また…後で言おう。
俺は必ずここに戻る。
リア、お前が好きだ。
俺がてめえを幸せにしてやる。
だから待っとけ。