第5章 飛翔
廊下に出るとカーペットや絵画を見つけ、昔と変わらずそこにあることが嬉しくなる。
私室から出たのは何年ぶりだろうか。その間に変わってしまったことも失ったものも多くある。
廊下を進むと両親と知らない男性の笑い声が聞こえてきた。
さぁ、死に急ぎ集団の人間と私を買った変態の顔を拝んでやろう。
ドアの前で車椅子は止まる。
「リアお嬢様。こちらがお客様とご主人、奥様がいらっしゃるお部屋です。」
リアはそれを聞き、小さく深呼吸をするとノックした。
「失礼いたします。リアです。」
扉が開き、部屋へと進む。
客間のソファには愛想笑いをする両親と軍服の格好をした男が2人いた。
「初めまして。リア・フランケルと申します。」
リアは笑顔を作り話しかける。
すると金髪碧眼で背の高い男が頬を緩める。
「初めまして。調査兵団分隊長のエルヴィン・スミスです。今回の婚約の仲介をさせていただきます。」
あぁ。この人も作り笑いだ。