第3章 孤独を埋めるもの
「君を混乱させたくなくて言わないでおこうと思っていた。
だが君がリヴァイのことを考えて辛いと感じるならば、私はこの気持ちを止めるつもりはない。」
「団長…意味が…。」
エルヴィンはリアの肩を掴んで自分からはなすと顔を見つめる。
「リヴァイの代わりでいい。
名前で呼ばれなくていい。
……君の側にいさせてくれないか。」
リアはエルヴィンの言葉の意味がようやく分かり、赤面する。
「え、えっと…私…」
「答えを出さなくていい。ただ君が寂しいと思った時に私を頼ってほしいんだ。」
リアは何か温かいものに包まれているような安心感を感じ、照れたように微笑んだ。
夕方、兵士が夕食を運ぶため部屋を訪れていた。
いつものように食事を机の上に置き、去ろうとする。
しかし
「…ねぇ。」
リアの言葉に足を止め振り返る。
目が会ってもリアは困ったように笑うばかりで、話そうとしない。
「どうかしましたか?」
「…これどうすればいいの?」
リアが指さしていたのはパンだった。
リアの症状について聞かされていた兵士は内心いよいよかと悲しく思いつつ、リアの横に屈むと説明をしていく。
「これはパンといって、食べ物ですよ。そのまま口に運んでみてください。」
リアは恐る恐るパンを口に運ぶ。
「おいしいっ!」
花が咲いたような久しぶりの笑顔に安心しつつも、胸の中は悲しさで溢れていた。