第2章 運命は残酷で
リアside
リヴァイさんが連れて来てくれた丘には多種の小花が咲き乱れており、今まで花瓶だけだった世界が大きく広がるのを感じていた。
空気が澄んでいる…。
風も匂いも景色もすべてが優しくて、孤独な日常を忘れさせてくれる気がした。
いつもは自分がもらうばかりだから、リヴァイさんとエルヴィン団長にあげたら喜ぶかな…などと想像に浸りながら花を摘んでいく。
自分の狭い世界を広げてくれた2人には感謝してもしきれない。
特に最近は、リヴァイさんといると胸の音がうるさく感じる。顔が熱くなる。
自分のこんな気持ちは初めてで
対処方法がわからない。
心がポカポカする。
この気持ちが好きってことなの?
しかし今幸せを感じているのは確かで、リヴァイといられることを嬉しいと思っているのは確かだった。
ふと、珍しい花を見つけてリヴァイさんを呼ぼうと振り返る。
「寝てる…。」
胡座をかいて寝息をたてているリヴァイさんを見ていると、なんだか時間の流れが止まったようで。
寝てる時ぐらい眉間の皺を無くせばいいのに…。
などと考えながら頬を緩める。
その時、突然頭を激痛が襲った。
鈍器か何かで何度も殴られているような強い痛みが続く。
痛みで呼吸が苦しくなり、目には涙が浮かぶ。
「リ、リヴァイ…さ…ん。」
必死にリヴァイさんに手を伸ばすが、あと少しのところで届かない。
意識が朦朧とし始め、とっさにリヴァイさんに見せようとしていた花を握った。
やだ…忘れたくない。
この景色だけは、この人のことだけは…。
スイッチが切れたかのようにリアは意識を失った。