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遠い花

第1章 花


「おばあちゃーん。ちょっと散歩してくるね」
「はいはい。気をつけなさいねぇ」
おばあちゃんがゆっくりと手を振る。それに笑顔で手を振り返して私は家を出た。

私、高槻百合は夏休みの間を、ここ岩鳶町にあるおばあちゃんの家で過ごすことになった。

綺麗な町だなぁ…。
昨日来たばかりの町並みを眺めながら歩いているとドンっと何かにぶつかった。
「ぅ…わぁぁん!」
泣き声を聞いて見るとどうやら小学生くらいの男の子とぶつかったらしい。
「ごめ…あっ!怪我しちゃったの⁉︎」
「ちょっと蓮!泣いちゃダメ!男の子でしょ⁉︎」
男の子の後を追って来たらしい男の子にそっくりな女の子が厳しい言葉を投げかける。
蓮くんって言うんだ。姉弟かなぁ?…じゃなくて!
「ちょっと待っててね!」
私は急いでポケットを漁る。
「あった!…はい、これあげる」
私は絆創膏を蓮くんに手渡した。
「…ありがとう、お姉ちゃん」
「蘭!蓮!」
「蓮、はーやーく!お兄ちゃんがきちゃった!」
「う、うん!」
「ばいばい!お姉ちゃん!」
「ばいばーい!」

な、なんだったんだろ…?
声が聞こえた途端に2人は走り去ってしまった。
「ごめんなさい!蘭と蓮が…」
「うわああっ⁉︎」
ほけっとしていたところ、急に上の方から声が聞こえたもんだから驚いて思わず叫んだ。
「ぅえ⁉︎ご、ごめん!」
突然、叫んだ私に驚いたのか謝られてしまった。
大丈夫だと言おうとして顔を上げるとそこには、背の高い男の人が立っていた。
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