第13章 抑えられない情動
「あとはあの時の流れ通りだ。
情動が制御不能になった結果、
お前は俺に抱かれ、
それなりに満足していたようだから
提案を持ち掛け、
お前と身体の関係だけでも続けたいと思った。」
ミケはそう言うとフッと息を漏らし、
「言葉にしてみると最低だな。
お前の弱みに付け込んで、
自分の欲求のままにお前を抱いていた。」
と、愁いを帯びた瞳をゆっくり閉じた。
ミケに握られた手を、咄嗟に強く握り返す。
「でも、決断をしたのは私で」
「それでも、それを提案したのは俺だ。」
少し強い口調で言葉を遮られる。
「エルヴィンを見つめるお前の、
幸せそうな表情が好きだった。
自分にその表情が
向けられることがないとしても、
その顔が見られるなら、
お前の恋を応援したいと思ったんだよ。」