第13章 抑えられない情動
「匂いも気になっていたから、
近くで嗅いでみたいと思ったが、
何故かお前に声を掛けることが
なかなか出来なくてな。
……柄にもなく、お前が近くにいるだけで、
肩に力が入った。」
ミケはそう言いながら頬を緩める。
「それでも、やっとお前に声を掛けられたのが、
お前を初めて部屋に呼んだ時だ。」
「……でも、初めて声掛けた時に
部屋に誘うのはどうなんですか?」
問いかけながら、当時のことを思い出す。
突然呼び出され、しぶしぶ部屋に行き、
間近で匂いを嗅がれ、そのまま最後まで……
……いや、明らかにおかしいだろう。
「お前の恋を応援することを
申し出ようと思って部屋に呼んだんだ。
そんな大っぴらに話せる内容でもないしな。」
心の声を遮られ、目を見つめられる。