第1章 身体の関係より大切な
「今回の調査は長期に及ぶ。
1か月近くは帰れないだろう。」
………調査。
そんなこと忘れていた。
と言うより、忘れていたかった。
ミケも
“いつ死ぬかもわからない兵士”
の一人であるということを。
「……アン。聞いているのか?」
自分で思っていた以上に
唖然とした表情を浮かべていたのか、
不意に声を掛けられ、
ハッとしてミケに視線を向ける。
「聞いてます。
……調査、頑張ってください。」
言葉を選ぼうとするが、
今の自分の気持ちを
正直に伝えられるはずもなく
それだけ言って、
ミケから視線を逸らした。