第13章 抑えられない情動
「最初は、お前の匂いが気になった。
今まで嗅いだことのない匂いがしたからな。」
「……それ、どんな匂いなんですか?」
「だが、それ以上に気になることがあった。」
ミケに問いを軽く流され、
膨れっ面になりつつも、少し頬が緩む。
相変わらず、自分の話したいことしか
話してくれそうにない。
それでも、そんな自由なところすら、
何故か愛おしく感じる。
「何が気になったんですか?」
「お前が、
エルヴィンを振り返った時の表情だ。」
「……表情?」
「ああ。」
ミケはそれだけ言うと、
ベッドへ仰向けに寝転がる。