第13章 抑えられない情動
「俺がお前を好きになったのは
お前がエルヴィンを好きになったのと、
同じタイミングだろうな。」
「えっ?!」
エルヴィンに恋に落ちたのは、
この兵団に来た、
まさにその日の出来事だった。
ミケと初めて会ったのは……
思い返そうと考えを巡らすが、
記憶の中にそれはなく、
申し訳ない気持ちが込み上げて、
思わずベッドに顔を伏せる。
「思い出せないのも無理はない。
お前はエルヴィンしか
眼中になかったようだからな。
だが、エルヴィンが食堂の前で
お前に声を掛けた時、
俺はエルヴィンの真後ろにいた。」
「ほ、ほんとですか……?」
そんな記憶は全くなかった。
と言うより、あの時はエルヴィンの
ことしか視界に入っておらず、
それ以外は全て風景の様に思っていた。