第12章 策士の思惑
「もしかして、
私が呼び出したとまだ思ってるの?」
「アンから聞かなかったのか?
モブリットを使いに出したのは俺だ。」
エルヴィンのその言葉を聞き、
ミケは大きくため息を吐いた。
「お前ら……
全員がグルだったって訳か。」
「でもそのお蔭で、
アンと上手くいったんでしょ?
感謝してもらっても
いいくらいだと思うんだけど。」
「……分隊長。それはどうですかね……」
モブリットは俯くミケを横目に、
小声で口を挿む。
「……いや。
確かにその通りかも知れないな。」
「どうした。急に素直になったな。」
エルヴィンは小さく笑い、
顔を綻ばしているミケの肩を叩いた。