第11章 一番の望み
「あいつはどこまで策士なんだ……」
「騙してすみません。
でも、そのお蔭で
ミケさんが正直に話してくれたので
結果良かったと私は思うんですが……」
「……だが、それにしては
随分リアルな演技だったな。」
ミケにそう言われ、
先程のエルヴィンとの関わりを思い出す。
エルヴィンの指示通り、
特に自分は何もせず、
二言ほどセリフを与えられただけだった。
あとは自然に出る声でいいと言われ、
エルヴィンの作戦の意図を掴みかねていたが、
エルヴィンの指先が
少し首筋をなぞっただけで、
その意味はすぐに理解できた。
殆ど触れられていなかったにも関わらず
自分でも驚く程にいやらしい声が出たのは、
エルヴィンのテクニックが
相当凄いからだろう……