第10章 弾かれたように
「お前、アンの気持ちを知ってて、
こんなことをしようとしてんのか?」
「だとしたら何だ?
お前には関係ないと思うが。」
エルヴィンの即答に、思わず口を噤む。
「お前はアンを突き離したんだろう?
そんなお前に、俺を責める権利があるのか?」
「………ない、だろうな。」
「それなら問題ない。
こっちもここで最後までする気はないからな。
続きは部屋でするから、
お前は自分の用事を済ませろ。」
「………待て。」
エルヴィンの腕が一瞬自分から離れるが、
再び強く掴み、引き寄せた。
「確かにお前の言う通り、
俺がお前を責める権利なんてない。
だが、これだけは言わせてくれ。」
「何だ?」