第10章 弾かれたように
「はぁっ…、んっ、
……エルヴィン団長、エマのことは、
もう、いいんですか?」
「どうかな。
そう簡単に諦められる気はしないが、
君と身体の相性が良ければ、
彼女を想っていたとしても、
君を抱くことくらい出来るよ。」
エルヴィンのその一言で、
一気に頭に血が上った。
これは止めに入るべきなんじゃないのか。
だが、アンを酷く突き離した自分が
ここでエルヴィンを止められる立場では
ない気がした。
「……それ、身体の関係だけ、
ってことですか……?」
息を弾ませるアンの声がヤケに色っぽく、
自分以外にそんな声を聞かせて欲しくない、
なんて身勝手な感情が湧き出してくる。
「そうなるかも知れないが、
君はそれでもいいと思っているんだろう?」
エルヴィンのその問いかけを聞いた途端、
反射的に身体が動いた。