第10章 弾かれたように
「ま…、ちょっと、待ってください、」
その声の主はすぐに分かった。
アンはまだ
部屋の付近にいたのか。
誰かと話しているのだろう。
だが、少し焦ったような声に
違和感を覚える。
「何故?君がこうしたいと
望んでいるんじゃないのか?」
すぐにエルヴィンの声が聞こえ、
思わず後ずさりをした。
アンとエルヴィンが話してるのか……?
「………んっ…!
でも、こんなとこで、ダメですっ……」
「……ダメと言っている割には、
あまり抵抗しないんだな。」
アンの艶めいた声色が
自分の鼓動を急激に加速させ、
その上、エルヴィンの荒い息遣いが
聞こえてくるようで、
耳を塞ぎたい衝動に駆られる。