第9章 作意の意味
その頃ミケは、
溜まった仕事を机に放置したまま、
ベッドで仰向けに寝転がり、
天井のシミを見つめていた。
アンに辛く当たりすぎたのは自覚している。
だが、そうでもしなければ、
アンは自分の気持ちを抑え続けるだろう。
あれだけ好きだった相手を、
そう簡単に忘れられるはずがない。
現に自分だってそうだったじゃないか。
エルヴィンのことを好きだと知りつつ
アンに近付き、応援すると言いながら、
実際は応援どころか、アンを追い詰めていた。
それなのに
少しでも希望を持ちそうになった自分を、
恥ずかしくも情けなくも思う。