第8章 否と策
「……アン?
まだ行ってなかったのか?」
歩き出して間もなく
優しい声が後ろから聞こえ、足を止める。
近付いてくる足音を聞きながら、
涙が出そうになるのを堪えるが
「話はできなかったのか?」
その一言で、一気に涙が溢れ出た。
「……すいませんっ……
なんか、全部拒否されて、
部屋に入れてもらえないどころか、
話しも、全然聞いて、もらえなくて……」
涙が抑えきれず、
嗚咽交じりの泣き声と共に言葉が出てくる。
「……そうか。あいつも強情だな。」
エルヴィンにそっと背中を摩られ、
ポタポタと廊下に雫が落ちた。