第7章 “憧れの人”
そんなある日。
アンは夕食を持って、
エルヴィンの部屋の前に居た。
「エルヴィン団長。
食事を持ってきました。」
ドアをノックした後、
そう声を掛けると、ゆっくり扉が開く。
「アン。ありがとう。
いつもすまない。」
少し疲れた表情のエルヴィンは
夕食を受け取った。
「……団長、大丈夫ですか?」
「ああ。そろそろ落ち着いてきたから
平気だよ。ありがとう。」
エルヴィンがそう言って少し後ろに下がり、
ドアノブを握った瞬間、
「……あの、
エマのこと聞きましたか……?」
と、少し小声で問いかけた。