第4章 自然と惹き寄せられる
「おいおい、エマ。
こんないいところで
邪魔するんじゃねぇよ。」
男に“エマ”と呼ばれたその女性は、
今向かっていた食堂で働く
“エルヴィンの想い人”だった。
「でも明らかに嫌がってるよ?」
「なんだよ、そんなことねぇだろ!
だって抵抗しねぇんだぞ?」
「抵抗しないと許諾するは、
意味が全然違うからね。」
「難しいこと言うんじゃねぇよ。
お前ほど本を読まねぇ俺にも
分かるように教えてくれ。」
男のその言葉を聞き、女性は頬を緩める。
やっぱり笑顔が可愛い。
こんな状況にも関わらず、
呑気にそんなことを思ってしまう。
「本屋の店主が
本を読まないでどうするの?」
……この坊主頭の見るからに
柄の悪い男が本屋の店主……?
あまりに不釣り合いな組み合わせに、
思わず吹き出しそうになり、顔を伏せた。