第4章 自然と惹き寄せられる
「……すみません。
ちょっと先を急ぐので……」
「何言ってんだよ。
俺は、意外と金はあるんだ。」
話が全く噛み合わない。
こんな時、どうするべきなんだ……
考えを巡らせるが、
男の荒い息遣いが聞こえ、
思わず小さく身体が震えた。
「いくらでヤらしてくれるんだ?」
単刀直入な物言いに、言葉を失う。
男のいやらしい視線が怖くなり、
俯いたまま身体が硬直して、
逃げる体制にもなれそうにない。
「ねぇちゃんが決めないなら、
俺が勝手に決めてもいいのか?」
「いいわけないでしょ。」
突如侵入してきた女性の優しい声に、
身体が少し解れ、顔を上げた。