第4章 自然と惹き寄せられる
次の日。
兵団が調査に行くのを見送ってすぐ、
ミケがあらかじめ用意していた馬車に乗り込み、
クロルバ区の店の近くまで来た。
『馬車まで頼んでいたなんて、
ミケさんはどこまで用意周到なんだ。
やっぱり私に“断る”という選択肢は、
用意されてなかったんだな……』
店に行く為の路地裏に入り、
視線だけで辺りを見回す。
エルヴィンやミケと一緒に来た時は、
そこまで気にならなかったが、
この界隈は明らかに治安が悪そうだ。
道のど真ん中で酒を煽っている男がいれば、
こんな真っ昼間から
客引きをする娼婦もいる。
自分もそこまで育ちがいい方ではないが、
此処ほどではない。
あの女性は、こんな場所で育って、
よく擦れなかったものだ……