第3章 表向きの方針か偽りのない本心か
「ミケさん?」
「アン。お前に頼みがある。」
「……何ですか?」
「エルヴィンの好きな女がいる
クロルバ区の店に行って、
あの女に会ってきて欲しい。」
かなり突飛な頼み事に言葉を失う。
一人であの店に行って、あの女性に会って……
どうしろと?何が目的で?
「あの女は、
調査兵団の料理人を目指すようだ。」
その一言で、自分の身体が少し、
冷たくなったのを感じる。
調査兵団の料理人になるということは、
簡単に考えて、
エルヴィンと関わる機会が
増えるということだ。
いくらエルヴィンの気持ちに
全く気付いていなかったあの女性でも
共に生活を送るようになれば、
いつかは気付くだろう。
……もし、エルヴィンの気持ちに気付いたら、
あの女性とエルヴィンは付き合うのだろうか。