第4章 炎と風
音のした方へ急いで向かうと、そこには焦げ跡と、カゲとナツがいた。
「ナツー!」
「お?」
「それ以上はいい。彼が必要なんだ!」
「でかしたクソ炎!!」
「は?」
頭の上に疑問符を浮かべるナツだけど、途端に顔を青くして大声を張り上げた。
「ちょ!なんか知んねぇけど、すんません!!!」
エルザも私も剣を振り上げ、カゲすれすれに後ろの壁に突き刺す。
「しのごの言わずに魔風壁を解いてもらおう。」
「返答次第では、この刃がどう動こうが責任はとれないよ。」
「ひぇぇぇえええ!洒落になってねぇ!!!やっべ、エルザあっぶね!!」
「黙ってろ!」
「ナツ五月蠅い!」
壁から剣を抜き、後ろに投げつけるとそれは綺麗に一直線に飛んでいきナツの横すれすれを通った。
ぱらぱらとピンクの髪の毛が落ちて行ったのも見えた。
「ヴィナのほうがこえぇええええ!!」
「ごめーん!」
カゲが魔風壁を解くことを承諾した。けど、その時カゲの体に魔法陣が浮かび、壁から出てきた腕がカゲを貫いた。
「な、なぜだ…」
「カゲ!」
崩れ落ちる体と、後ろにいた震えたアイゼンバルトの者。その光景に、私はしばらく動けなかった。
「くっそ…唯一の突破口が!」
「カゲ!しっかりしろ!お前の力が必要なんだ!」
カゲからの返事はない。
「マジかよくっそ!!」
「魔風壁を解けるのは、お前しかいないんだ!!死ぬな!!」
「仲間じゃ…ねぇのかよ…同じギルドの仲間じゃねぇのかよ!!」
ナツの周りに炎が踊る。壁の中の奴はそれに恐れなしたのか壁の中に姿を消した。
「この野郎!!」
ナツの拳が壁を砕き、中にいた奴は黒焦げになった。
「それがお前たちのギルドなのか!!」