第3章 3 妖精たちは風の中
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なにやら胸騒ぎがしてたまらない。
魔力の流れを駅の外で感じる。
しばらくいくと、慣れ親しんだ魔力、そして足元に触る冷気が流れ出ていた。
「これは…」
白い霧のように漂う冷たい空気。その向こうから姿を現した人物に、私は駆け寄った。
「グレイ!」
「ヴィナ!奴らの狙いが分かった、この先のクローバーの街だ!」
「定例会?!身の程知らずが…」
「じゃが、何も知らぬマスター達に笛の音を聴かせることぐらい造作もない。早く止めねば。」
考えるより行動を起こすしかない。近くにある出口から外に出ると思いもがけない光景に目を見張った。
「何じゃと…」
「魔風壁ってのはこのことか…」
分厚い風の層が駅を包みこみ、行く手を阻む。
私は魔風壁に近寄ると、少しだけ指先を出して手を伸ばした。だけど、触れた瞬間ながれる風に押し返され弾き飛ばされる。
「バカ!何やってんだよ!」
触れた指先だけでなく手全体が傷だらけになり、ひりひりと痛む。
これを突破しなければ前には進めない。
「エルザのところに戻ろう。奴らの目的とこの魔風壁のことを伝えなきゃ。」