第2章 鎧の魔道師
気を取り直して、冷静に考えればそのアイゼンバルトの一人はあの列車にまだ乗っている。今ならまだ間に合うかもしれない。
「先ほどの列車に乗っていたのだな。すぐに追うぞ!」
「どんな奴だった?」
「あんま特徴なかったな…あ、そうだ。そういやぁ、髑髏っぽい笛持ってたな。三つ目がある髑髏だった。」
「三つ目のどくろ?!」
「趣味悪ぃな。」
「ルーシィどうしたの?」
「あたし、その笛のこと知ってる。ララバイ…呪いの歌!死の魔法。」
死の魔法、という言葉に何故か違和感を感じた。話はたくさん聞いてたし、禁忌の魔法であるから知らない人はいないが、何故か私は死の魔法という言葉に並々ならぬ敵意を毎回感じていた。
「何?」
「呪いの歌?呪歌のことか?」
「あたしも、本で読んだことしかないけど…禁止されてる魔法の一つに呪殺ってあるでしょ?」
「あぁ、対象者の命を滅ぼす呪われた黒魔法だ。」
「ララバイはもっと恐ろしいの。」
ララバイとは、ゼレフが作ったその音色を聴いた人全ての命を奪う、集団呪殺魔法だとルーシィは教えてくれた。
時は一刻を争う事態となった。
私たちは急いで魔道四輪に乗り込む。
「飛ばしすぎだエルザ!いくらお前でも魔力がもたねぇぞ!」
「そんな悠長なことは言っておれん!集団呪殺魔法…そんなものがエリゴールの手に渡ったら…あいつめ、何をするかわからん!」