第2章 交信開始
――チャイムの音が響いていた。
春樹は携帯の時間を見て確認する。
この学校には、『朝の連絡会』という、その名の通り担任が今日一日の連絡をする時間が朝一番に設けてある。
その始まりを告げる1回目のチャイムがこれだ。
どんなにどうでもいい連絡であっても、
それこそ、「今日は特にこれと言って連絡はありません。」と担任が一言いって去っていくだけであっても、
この1時限目前に行われる『会』に居ないものは遅刻とみなされた。
春樹は靴箱に靴をしまう。
遅刻、という訳だ。
かといって、特に急ぐ様子もない。
この学校に来て1カ月。
まだ『転校生』の肩書をもった春樹には先生もよそよそしく、大目に見る事が多い。
怒られないだろう、という確信と。
たいしたことではない、という考えがそこにある。
ずるっ、と靴が滑る感触があった。。
置きかけた靴をまた持ち上げると、奥に紙切れが見えた。
・・・・・またか。
と思う。
ラブレター。
この学校に来て1カ月。
前回の転校の時よりも2カ月早いな、とつぶやく。
新記録者が生まれた。
特に喜ぶこともない自分自身にももう慣れたものだ。
ただ、どんな奴なのかだけは気になる。
春樹は、カラフルな封筒についたドロを丁寧に払って鞄にしまった。