第3章 引力
雨脚は弱いもののまだ降りやまない雨。
7月8日、
彼らにとって、待ち遠しいその日が来るまでの365日が始まり・・・、その一日目が今やっと過ぎようとしているのだった。
「長いな・・」と呟く。
優菜にはあっという間の1日なのに。
昨日から今日。
特に何をすることもないまま時間は経過してしまった。
引きこもりが始まったばかりのころを思い出す。
まさに『何もせず』に一日が一瞬にして過ぎて行き、戸惑い、怖くなったりもしていた。
曜日すら忘れそうになった時、父がラジオをプレゼントしてくれて、私は少し救われる。
―――今日は木曜日だ。
好きなパーソナリティの番組がそろそろ始まる。
わざとオシャレにレトロな形をしたラジオ。
スイッチに手を伸ばそうとした時、
私の名を呼ぶ声がした。