第4章 第1層~第10層 その3 "再起"
一体どうするつもりか
今の私達には皆目分からなかった
仕方なくボスの方へ視線を移す
そこはカミナに近しいプレイヤーが奮戦していた
全員がバラバラの戦い方…どこの山賊だ、と言わんばかりに統一感の無い戦い方ではあったが、各々が気力に満ちていた
故に攻める時や守る時、それぞれに繋がりが出来ていた
だからこそ、私達は一瞬ここに加わるべきか迷ってしまい…結局動けなかったのである
恐らく彼等は私達が動かなくともやってしまう
無茶苦茶だが、やれてしまう
多分そうなんだろう
荒削りな喧嘩に近い戦術が目立つ戦いでも確実にボスを追い詰めている
しかし、ボスも案山子ではない
腕を振り、パイルバンカーを撃ち、ストライクパイルで砕く
そうした破壊やダメージにも彼等は一切めげず、一切止まらず攻め手を緩めなかった
だから、次の状況が作れる
「そうだ!!」
ボスの足元、地面からシモンが現れる
この時ボスは遠くに例の光を発射している
隙としては上出来だ
「こうして前に進んで生きる!精一杯やってやる!その先、最後に天を越えるその後もだ!!」
シモンが改めてドリルを構える
武器スキルなのか光を纏い高速で回転したそれを携え、脚力ブーストをかけ全力で跳んだ
「お前はその…最初の一歩だぁぁぁぁぁ!!!」
そのまま彼はボスの胸の玉に突っ込んだ
ボスは衝撃で身体をくの字に曲がり、大きく呻いた
そして…シモンが当たった位置から、少しずつ胸の玉にヒビが入り―
「うおぉぉぉぉぉ!!!」
―最後には砕け、シモンがボスの身体を貫通した
ボスはシモンが着地した瞬間砕け散り、視界が元の迷宮区に戻った
中央に立つシモンは人差し指を上にかかげ、大きく口を開いた
「皆、この層のボスは俺達が倒した。だが、後90以上もボスはいる…だからどうした!!俺達が本気で生きると決めた時の力で、そんなもの蹴散らしてやる!!……やるぞぉぉぉ!!」
カミナを思い起こさせる―いや、彼以上の暑苦しい言葉にカミナに近しい…新たにシモンに着いていくと決めたプレイヤーが沸き立つ
ここにおいて第三層はクリアされたのである