第4章 第1層~第10層 その3 "再起"
「かかれぇぇぇ!!」
セガール指揮の一番目の部隊が攻撃に入る
人体の数倍もあるボスは打撃に優れるという情報
その通りに、腕からの重そうな一撃が地面を抉るのが見える
コンクリートが崩れ、下の土が舞う
何だか、一昔前の怪獣映画が現実に起きたという感覚に近い
しかし、私達の知っているであろうそれとは違い、剣や槍で戦っている辺り現実的に考えて無謀なのだがそんな事は言っていられない
ここに来たからには勝って生きるか負けて死ぬかの二択しかない
そして私達は一見無謀でも、来たからには勝つしかないのだ
二番目の部隊に切り替わるも戦況そのものは余り変わっていない
しいて、ボスのHPを多少削れたという程度か
とは言うものの、今回はボスの攻撃により地面が抉れている
場合により戦場を移動させる必要があるとの判断をした為、部隊が変わる度戦場も変わっていた
二番目の部隊はボス奥の道路、三番目の部隊は近くの公園にてボスを迎撃―結果私達に移る時は接敵時よりも二本程、通りを挟んだ位置となった
対峙してみるとその大きさがよく分かる
巨大故のパワー、そして根元的恐怖との戦いとなる
「皆、パワーに拮抗するならパワー。パワーに対してポイントを突きたいならスピードが必要になる。自分の今の能力、更にその中で得意分野を各々発揮して対応しよう」
部長の言に言葉無くとも答える
始めに飛び出すのは脚力にブーストをかけた、私
ターゲットを取られたまま真っ直ぐに加速する
ボスの左腕が私目掛けて降り下ろされる
いや、掴みかかるが正しいだろう、が関係ない
後ろのコンクリートが抉れるのが震動で理解出来るがそれでも走り続ける
ボスの股下を抜け、急旋回
コンクリートを擦り、靴が削れる
転ぶ訳にはいかない…意地で体重を支え、そのままボスの背中に向けジャンプ―ターゲットである私に身体を向ける前に―
「一発!!」
武器スキルを叩き込み、先手を取る