第31章 第51層~第60層 その3 "白い悪魔"
先の戦闘から数時間後――
白い服の男、ダグバはフィールドに出ていた
山合の遺跡、その入口で彼は歩みを止める
「凄いね、君。気配は殆ど隠してたのに、あっさり気付くなんてね」
軽薄な声
暗闇から帽子にストールの青年、ソラが姿を見せた
「僕は滝川空、ソラって呼んで――うわっと‼」
自己紹介も意に介さない拳を何とか回避するソラ
彼も白い服の男――ダグバの異常性は理解していた筈だが、ここまでコミュニケーションが難しいとは、とも思っていた
「全くもう、たまには人の話を聞くって言うのもね、人間の形してるなら必要だと思うよ」
ギリギリ拳を回避しながらそれでもまだ余裕を見せるソラ
彼には確信があった
この、ダグバという人物が何で動いているのか
故に、バックステップで距離を取ったと同時に、"それ"を投げ掛ける
「ゲリザギバスゲゲル」
その言葉を聞いたダグバの拳が止まった
「そこで一番の人がザギバスゲゲルをやる。こんなルールどうだい?」
間髪いれずにソラの投げ掛けたルールに、ダグバは更に純粋な笑顔を見せる
故に――
「だからさ、色んな人集めて、色んな人――殺そうよ」
――それがゲームだと、それが契約だと、二人の間で交わされたのだった