第31章 第51層~第60層 その3 "白い悪魔"
トーマに引き摺られた私は程なくしてジン、そしてメティスに合流した
「別についてきた訳じゃない」
「というより邪魔なんだけど」
――などと売り言葉に買い言葉状態であり、ジンが深々と嘆息しているという具合ではあった
トーマは当然何処吹く風
正直勘弁してほしい
「……よく溜め息で済ませられるね」
「まぁ、あの手のには妹で慣れてるからな」
「妹さん、いるんだ」
意外な形で現実の話が出た為、つい食いついてしまった
「まぁな。一人でも五月蝿いのに三人でピーチクパーチク言いやがる」
「そんなものでしょ、あの子みたいにね」
三人も妹がいる――随分楽しそうな家庭そうだ
僅かに笑みが零れた
ともなれば成る程、扱いは分かるという訳か
「何くっちゃべってんの!?」
「関係無いから気にしないで」
噛み付いてきたメティスを適当にあしらうだけには取り敢えず落ち着いてきたみたいだ
「じゃあ、相手よろしく」
「押し付けてくれるな」
ジンは再び溜め息を吐いた
そんな中を私達は進んでいく