第2章 第1層~第10層 その1 "旅の始まり"
第一層「はじまりの街」
ゲームを最初からスタートした際の文字通り「スタート」位置である
目の前には中世を思わせる石造りの大きな街
なるほど、良く作られている
次に自分を確認―自分の分身、まさに自分自身の感覚や初期設定が狂っていないか
キャラクター、いや私のアバターは女
性別を偽るつもりはない
名前は「リリィ」
自分の視界の左上に「Lily」と確かにHPバーと共に表示されている
そして最も確認すべき事―唯一の設定である確認事項、髪が黒いかどうか
(よし…ちゃんと黒い)
腰の辺りまで伸びた黒髪を見た辺りで改めてナーヴギアの性能に驚く
現実世界では頭に被っているだけなのに体型までしっかりと再現されている―後々、防具に気を配った方が良いかもしれない
さて、一通り確認が済んだ所で彼等を探さなくては…
アバターは好き勝手だ、故に合流するのに苦労する
一応集合場所とやらに行こう
確か中央から東にすぐ行った食堂の筈
私、というか私を含めたコンピューター部全員を誘った先輩、というか部長の言を元に動いていく