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SAOGs

第26章 第41層~第50層 その3 "転換点への道標"


彼――トーマの眠りは常に突然だ
寝ようと思った数秒後には既に眠りについている
同時に、目覚めも突然だ
いつしか感じ取れるようになった危機感
それが強制的かつ瞬時に、彼の意識を浮上させる

今もそうだ
建物の一室で床に寝転び、睡眠を取っていた彼は、部屋の外から感じた気配によって目覚めた
自身も窓から忍び込むように部屋に入ったのだ、警戒は当然する

静かに体勢を変え、いつでも飛びかかる事が出来るようにする
息を潜め、視線を扉に固定――気配が扉の前に来るのを感じ、身体に力を込める

向こうは自分を察しているだろうか
だとするなら開けた瞬間に攻撃が飛んでくる
ならばこちらもぶつけてやろう、とトーマは考えていた

その考えが浮かぶと同時に、ノブが回る
瞬間―トーマは跳躍するように駆け出した
一瞬で扉の前に辿り着き、彼はそのまま拳を繰り出した

現時点での彼のステータスをもってすれば、たかが扉一枚を破るなど造作もない
扉の面にそのまま拳大の大きさの穴が生まれ、拳が貫通した事を知らせる
そして同時に――

「んごふぅぅぅ!!」

――扉の向こうから、男の声が響いた

攻撃だとかが当たった際の声
だがそれで、トーマは扉の前にいた人物が誰であるかを思い出した

「んだよ、バスクか」

穴の出来た扉をトーマが開く、その先に――腹を抱えて倒れ込む、バスクと呼ばれた男がいた

「ノックしろ、基本だろ」

トーマは見下ろしたまま口を開く

「ノックしたらうるせぇって言うだろ…」

倒れ込んだまま、バスクと呼ばれた男は苦しげに文句を口にした
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