第24章 第41層~第50層 その1 "Survive"
(槍…まさか…)
そう思った直後、私とトーマの間に人影が割り込んだ
真横に振られたのは曲刀
トーマはそれを後方宙返りでかわす
「キョウヤ!!」
そう曲刀を振るった人物が叫び、拾った槍を真上に投げた
直後、私の頭を越えて別の人が現れた
投げられた槍を空中で取り――
「はあぁぁぁっ!!」
―ブーストのかかった突きを繰り出した
トーマは右のトンファーを突き出し、それを真っ向から受ける
ぶつかり合った力は互いを弾いた
私の目の前に着地し、トーマと対峙する人物は漸く口を開いた
「間に合った、みたいだな。無事で良かったよ、リリィ」
部長とシンジ先輩がこの場に辿り着いたのである
何故だろう、それまであった筈の極限の怒り――「潰してやる」という感覚が霧散した
「何の真似だテメェらオイ…」
逆に向こうは二人の登場によって苛立っているようだった
答えたのは部長、真っ直ぐに見据えながら前に出る
「何の真似かと言われればただ一つ、邪魔しに来た。大事な後輩だ…だからお前に殺させる訳にはいかないんだよ!!」
「上等だァ!!」
そう吼えて奴は部長へ駆け出した
ぶつかり合うトンファーと槍―奇妙な鍔迫り合いへと発展した
直後、私とシンジ先輩の後ろで地響きが鳴る
視線を向けた先には―赤いアリジゴク
まだ生きていた、と舌打ちをしてしまう
偶然にも挟撃を受けた状態―それもまた焦燥を煽った
「シンジ、リリィ!二人でアリジゴクを何とかしてくれ!」
鍔迫り合いのまま部長が口にした内容に私は驚きを隠せなかった
私達の方ではない、部長が一人であの男と戦うという事が自動的に決定するからだ